中嶋朋子さん

シェイクスピアというすばらしいギフト

シェイクスピアの面白さは私の中でゆっくり熟成していった

十代の時、「ロミオとジュリエット」のジュリエット役を頂きました。一生に一度できるかできないかのお役だし、テレビドラマの世界にいた私にとって、初めての舞台。全く知らないものに対峙していく自分に、若さだけで乗り越えていくジュリエットを重ねあわせるような、16のあの時にしかできない経験でした。

装飾が多くて独特な台詞。最初の出会いとしては難しさの方がいっぱいだったけれど、読んでは挫折を繰り返しながらシェイクスピアの面白さは私の中でゆっくり熟成していったみたい。そろそろまたシェイクスピアに触れたいと思っていた時「ヘンリー六世」のお話を頂き、飛びこまない手はないと。お客様も高揚して、演じる側も高揚して、そうして完成するのがシェイクスピア。そこに向かう重圧もあったけれど、失敗も楽しみながら「リチャード三世」までやりとげた経験は、すばらしいギフトでした。

ご縁があって明星大学を訪れる機会があり、住本教授にお会いしてシェイクスピアのファーストフォリオを見せて頂きました。落書きがあったり意見が書きこまれていたり、人々の熱烈な高揚感が当時の空気ごと止まっている。教授ご自身も楽しみながら研究されているのがすごく伝わってきて、同じ熱の高まりを分かち合えたような感動がありました。

私自身、いよいよやってみたかった喜劇に挑めることが決まり、また、どんなシェイクスピアというギフトを頂けるだろうと今からわくわくしているんです。

写真:中嶋 朋子さん 中嶋 朋子さん

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