岩波 由香さん

生涯変わらぬ友

明星大学を卒業して28年になる。専攻学科は教育だったが、私は民間企業に就職した。
親友たちは、初心を貫き教育者の道を歩んでいる。卒業後しばらくは、地元に戻っていった親友たちも東京で再会する機会をそれぞれ都合付けてくれていた。 しかし、結婚、子育て、仕事と環境の変化は、そう簡単には調整ができなくなりずいぶん会っていない。

2011(平成23)年3月11日。東北を震源とした大地震が発生した。
親友たちへも連絡を入れたが、一人だけ連絡がまったく取れない。彼女は浸水被害が発生した東関東に住居し、大学時代には彼女の東北に住む親戚にも大変世話 になった。連絡がついた親友たちへも連絡が取れない旨を伝えると心配したが、依然、彼女とは誰も連絡の取れないまま数ヶ月が過ぎた。

やがて、親友から一通の手紙が来た。長らく心配をかけたが自分をはじめ家族も、親戚も全員無事である。彼女らしい几帳面な文字である。安堵の気持ちを親友たちに連絡し、共有する。誰もが心配したことより、無事である喜びを口にする。

長く会う機会を失い、多忙を極めながら日々を過ごし、それぞれの人生を歩んでいるが、一緒に明星大学で青春を過ごし、教育者という同じ目標を目指し、励まし慰め理論を戦わせながら友情を育んだ親友たちは、生涯変わらぬ友である。

写真:岩波 由香さん 岩波 由香さん

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