乙武 洋匡さん

「学ぶ」ということが面白くて仕方ない

志を同じくする仲間との切磋琢磨があったからこそ、くじけることなく最後まで走りきることができたのだと思います。

大学在学中に『五体不満足』が出版されて以来、多くの方から「乙武さんは強いですね、明るいですね」という言葉をいただきました。それは、きっと私の両親が愛情いっぱいに育ててくれたから。 「大切だよ」「大事に思ってるよ」というメッセージを受けとった私は、成長していくなかで自己肯定感を育むことができたのでしょう。

そうして育ててもらった私だからこそ、今度は次の世代のために、「恩返し」ではなく、「恩送り」がしたい——そんな思いから、20代後半を迎えたときに教育を志すようになりました。

「まずは教育現場において、責任ある立場で子どもたちと向き合いたい」と考えた私ですが、当時は教員免許を取得していませんでした。そんなときに出会ったのが、明星大学です。通信制で学びながら小学校の教員免許を取得できるというカリキュラムに魅力を感じ、私にとって二度目の大学生活を送ることを決意しま した。

仕事を続けながらのレポート提出や試験勉強は、たしかに苦しいものがありました。しかし、不思議なものですね。目的意識がはっきりしていると、あれだけ嫌いだった「学ぶ」ということが面白くて仕方ないのです。それに、どんどん頭に入ってくる。また、志を同じくする仲間との切磋琢磨があったからこそ、くじけることなく最後まで走りきることができたのだと思います。

2年間の通信教育とスクーリング(面接授業)、さらには四週間の教育実習の末、2007年2月、ついに小学校教諭二種免許状を取得することができました。そのおかげで、同年4月から杉並区立杉並第四小学校教諭として勤務することができるようになったのです。 3年間の教員生活は、私にかけがえのない出会いと経験を与えてくれました。当時のエピソードをもとに書いた小説『だいじょうぶ3組』は映画化され、今月23日から公開。 私からの「恩送り」を、ぜひ受けとってもらえたらと思います。

写真:乙武 洋匡さん 乙武 洋匡さん

筆者プロフィール

乙武 洋匡 オフィシャルサイト

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