矢野デイビットさん

今ここにいる自分の出発点

自分の人生を広げていくには何をすべきか。

自分は何をしたいのか、何をどうしたいのか。僕にとっての明星大学は答えをつかむための訓練の場でした。サッカー一色だったそれまでを断ち切って人間としてゼロからスタートしたかったんです。

大学では積極的に出会いを求め、友達を作りました。そんなある時、出会った方から「君はその外見を持ちながらガーナのことを知らない。理解できない」と言われたんです。世界を広げたい、枠にとらわれたくないと意気込んでいた僕にとっては、目が覚める一言。でもそれが母のルーツであるガーナに渡るきっかけになったんです。2回目にガーナに渡った時が転機でした。声をかけてきた物乞いの子が幼い頃の僕にそっくりだったんです。少年の自分がタイムマシンに乗ってメッセージを届けに来たのかと。ハッとしました。自分の人生を広げていくには何をすべきか。答えは出たんです。

ガーナでの僕の教育支援活動Enijeはそうして始まり、最近では縁あって明星大学でEnijeをテーマに「自立と体験」というカリキュラムを担当させて頂くようになりました。将来ガーナの若者を日本で学ばせることもあるかもしれない。でも、それ以上にやりたいことは日本の若者をガーナに連れて行くこと。それが明星や日本の若者への恩返しでもあるし、僕自身が続けていきたいことなんです。

明星で学んだことの一つが「人間、一人では生きていけない」ということです。今の自分の出発点にもなった、建学の精神にも通ずる教えですね。

写真:矢野デイビットさん 矢野デイビットさん

筆者プロフィール

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