明星幼稚園公式ブログ

コミュニケーションのちから

Vol.12 2018.09.01

保育について

明星小学校学童と一緒に夏のカキ氷大会

明星学苑の中高生が読み聞かせに来てくれました

高校生の読み聞かせを真似て、年中さんが年少さんに絵本を読んでくれました

ご無沙汰しておりました。
この夏は異常気象に悩まされ続けましたが、皆様いかがお過ごしでしたか。たくさんの思い出ができたことでしょう。いよいよ2学期が始まりましたが、どうぞ宜しくお願いいたします。

夏の間当園の教員は、これまで以上により良い保育を実現するために各種研修を受け、研鑽に努めておりました。ルーブリック研修を始め救急救命講習、AED操作講習、防犯訓練などの全体での研修とは別に各自が様々な研修を受けてきてくれました。それぞれの教員が自分を振り返り、今後のより良い保育と保護者支援のために研修を活かしてくれることと考えております。

さて、私はと言うと「教師学事例研究会」という場で発表をする機会がありました。以前から学んでいるトマスゴードン博士の「ゴードンメソッド」(以下GM)によるコミュニケーションについて事例をまとめ、日本全国からお集まりの教員やGMインストラクターの方を前に発表しました。 よい機会ですのでGMについて簡単にご紹介いたしましょう。

今年度から新幼稚園教育要領が施行されました。今後施行される小学校以上の学習指導要領と共に『新しい時代に必要となる資質・能力(非認知能力)を育むために、主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)の視点からの学習過程の改善』が改定の方向性となっています。
 
幼児教育ではその特長ともいえる「遊びの中から学ぶ」ことの意図が明確になり、18歳までの成長を見通した幼稚園から高校までの教育課程で、共通する『新しい時代に必要となる資質・能力(非認知能力)を育むために、主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)の視点からの学習過程』部分は同じ文言を使って表現するようになりました。

明星幼稚園においてはこれまでとなんら変わることなく教育目標に向けて保育を進めていくのみということではありますが、教育目標を達成するためには、間違いなく教員のコミュニケーション能力が大きく影響していることが国を挙げて改革の方向性として打ち出されたものと考えます。そして改めて私が学ぶこのGMによる「教師学」は教師のコミュニケーションの土台になるものだと確信した次第です。 
GM(ゴードンメソッド)では、園児が泣いていたり、困っていたりするときに、教員は園児の気持ちを能動的に聞くことを学びます。(アクティブリスニング=能動的な聞き方) 
例えば子どもの様子がいつもと違うな(泣いている、元気が無いなど)何かあったのかなと思うとき、教師は「何か嫌なことがあったのね」「困っているのね」と言葉を掛け寄り添います。子どもは分かってもらえたと感じたとき、自分の感情を自ら整理し落ち着ける(泣き止む)ことができます。
また園児の具体的な言動で教員が困る(怒りが湧き上がる)とき、教員はその言動に向けて具体的に何に困っている(嫌なのか)のかを園児に伝えます。(わたしメッセージ=I(アイ)メッセージ)
教師が困る具体的な影響がはっきりと伝わると、子どもは行動を変えて(止めて)くれます。その事例をひとつご紹介します。25年ほど前でしょうか。年少の二人の男の子と私のやり取りです。
幼い幼稚園の子どもたちであっても、具体的に相手が困っていることがわかると自分で考えて行動を変えることができます。相手に対する思いやりの心をきちんと持っているからです。本当にすばらしいことです。
GMではいくらこちらが困っていた、嫌だと感じていた子どもの言動だったとしても、その子どもにとってはやりたかった行動です。それを変えて(止めて)くれたのですから最後には「わかってくれたのね。ありがとう。」とお礼を言います。

どうでしょうか。わたしメッセージを使わなかったら、「止めなさい」を連呼し、ついにはどちらかがあきらめるか、強制的に止めさせるか。それでは子どもは人目の無いところで同じ行動をしようとするのではないでしょうか。
もちろん大人とのより良い関係など築くことはできません。

他にも子供同士のけんかや気持ちのすれ違いなどはGMを用いて、双方の気持ちを能動的に聞くことで誤解が解け、問題が解決することがあります。
双方の強い欲求がぶつかっているときには、どうしたら双方が納得いくように解決できるか、その解決策をできる限り子どもたちに提案させ、実現に向けてのプロセスを援助していきます。

当園の教員のほとんどはGMを学び実践しておりますが、子どもたちとのコミュニケーションはいつも試行錯誤です。いつでも自信を持っているわけではありません。
ただ一つ言えるのは、この方法があることを知っている私たちは、迷ったときのカード(切り札)を何枚も持っているということです。
後は子どもの考える力と生きる力を信じ、そのカードを切った時、この子はどう考えるか、どう行動するかを見守ることが子どもの成長に繋がると信じています。

ほんの一部ですがGMをご紹介しました。まだまだ奥が深いのでご興味のある方はお調べいただくとよろしいかと存じます。
さあ1学期の助走期間を経て、2~3学期はどんな成長を見せてくれるのか、今から楽しみです。


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