金田 武司さん

指導以上に、愛情を受けた場所

 あらゆる先生が担任の先生だったような気がします。中3で父が他界したとき、親代わりになるからなんでも言ってほしいと先生方が皆、手を差しのべてくださった。私にとって明星学苑は指導以上に愛情をうけた場所ですね。わからないことがあり職員室に行くと何時間でも熱心に付き合ってくださいましたし、職員室に行くのが私も楽しみでした。

 いろんな先生がご自分の教科をクロスして生徒に接してくれたことも明星ならではの校風ではないでしょうか。事実、私にとって数学の先生は英語の教師だったんです。親しくさせて頂いた鈴木武先生ですが、あるとき放課後いっしょに英語を勉強しよう、このさき数学をマスターするなら英語が大切だとおっしゃったわけです。なるほど、と。そして受験ではなく、将来役に立つ英語の身につけ方についてアドバイスを頂いたり。教科書中心の決められたことを学ぶ教育ではありえない環境がそこにありました。すごく楽しかったし、自分で考える力がついた。大学に進んでからの土台も明星の中高で培われたと思います。

 高校でも大学でも、がむしゃらに勉強しました。父を早くに亡くし、自分を律して勉強しなければならないことを強く認識したのかもしれません。そんな自分に応えてくれた最初が、明星の先生方でした。未来のために伸ばすべきこと、本質を伝えるような、良い意味で自由で家庭的な教育が明星にはありました。それが私にはとても幸運なことだったんです。

写真:金田 武司さん 金田 武司さん

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