古川 雄祐さん

私の人生を動かした先生の言葉

 今の私があるのは、高二の時の担任の田村正一先生のおかげです。明星学苑で先生に出会うことがなかったら、全く違う人生を歩んでいたと思います。

 先生は広島で被爆され脚を患い、闘病しながら、化学の教壇に立たれていました。休み時間には生徒たちとよく話され、ひとりひとりの性格や個性を見極めて指導される方でした。自分の能力を信じなさい。今できなくても努力すればできるようになる。自分の将来を思う時は何がいちばん大切かを自分事として考えなさい。心に響いた言葉の数々は今も忘れません。そんな先生が、数学や物理が苦手で医学部など考えたこともなかった私に、君の天職だから医療をめざしてみなさいと道を示してくださったわけです。君なら大丈夫だからと励まされるたび私も奮い立ち、苦手科目との格闘を続けました。高校生が先生を信頼できるって良いことですよね。前に進む力になりますから。

 医療の道に進んで思うのは、思いやりの心の大切さです。すべての仕事で言えることですが、研究ではチームメンバーが一丸となって力を発揮できるよう、スタッフひとりひとりをよくみて、その人に合ったアドバイスをするように心がけています。田村先生が私たち生徒にしてくださったように、和を重んじる建学の精神を忘れないように努めています。

 学生を指導する時、強く意識するのも教育者としての田村先生の姿勢。すばらしい先生との出会いを感謝してやみません。私にとって本当に特別な先生です。

写真:古川 雄祐さん 古川 雄祐さん

筆者プロフィール

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