ミセスの世界大会でグランプリを受賞　司会業と共に日本文化、伝統を発信し続ける

中学に進学する前に、パッと開いた受験案内のページに紹介されていたのが、明星学苑と吉祥寺にある明星（みょうじょう）学園でした。水泳部に入りたかったので、屋内温水プールがある明星学苑のほうを選んだというのが入学の理由です（笑）。でも、入学後に温水プールは男子部のもので、女子部にはプールがないことが判明しました。男子部の屋内プールを借りて練習していたのですが、酷い時には男子部、女子部、高校の水泳部も一緒に練習するので大混雑。それで、水泳部はすぐに辞めてしまいました（笑）。

その後、明星高校、明星大学へと進学し、大学時代にアルバイトで始めたイベント司会の仕事が現在の本業になっています。当初、所属していたのがモデル事務所だったので、司会以外にもレースクィーンの仕事などもしていました。テレビやラジオでも司会の仕事を手掛けるようになりましたが、観客の反応が直接見られるイベント司会の方が楽しかったので、そちらをメインに続けてきました。

ある時、インターネットでミセスコンテストの日本大会が開催されるのを知ったんです。参加条件が既婚者というだけで他に制限がない上、優勝者は世界大会に出場出来るという点に興味が湧きました。自分が「JAPAN」と書かれたタスキをかけて外国人と並んでステージに立っている姿を想像したら、面白すぎて応募せずにはいられませんでした。

審査は、世界大会を想定して全て英語。そんなことすら知らずに受けてしまったので、何を質問されても全てを「アイ・ドント・ノー」で答える有り様でした（笑）。結果は当然ながら落選。でも、そのコンテストがきっかけとなり、2年後に開催された別大会（ミセス・アジア・インターナショナル）の日本代表に推薦され世界の舞台を踏むことになりました。

日本代表として出場した世界大会は、各国から集まった強い女性たちの間で戸惑う毎日。それでも「何もできないで帰るのはつまらない」と自分を奮い立たせ、私らしく本業を活かす形で各国ミセスのインタビュー動画を撮影することにしました。英語は拙いながらも撮影することでみんなと仲良くなれ、人気者として賞まで頂くことが出来ました。さらには翌年の別コンテスト（ミセス・グランドユニバース）にアジア代表として呼ばれ、２度目の世界大会出場を果たしました。

コロナ禍以降は自分のSNSで日本文化を発信したり、さまざまな世界大会に出場したアスリートやアーティストなどを集めてイベントを企画したりしていました。それらの活動が評価され、世界大会が開催されなかった2021年、過去の出場者から選抜される形で世界グランプリを受賞することができたんです。

日本文化の発信を始めたのは、世界大会で各国代表が民族舞踊などを披露するナショナルパフォーマンスの場が設けられた時に、何もできなかった経験があるからです。その時私は日本のアニメキャラクターのコスチュームを着て、アニメソングを歌ったのですが、厳密に言えばそれはナショナルパフォーマンスではありません。

そこで帰国後は、国内外を問わず私のように日本文化や伝統を知らない全ての人たちに伝えたいと思い、茶畑に立ったり盆栽を紹介したり、伝統工芸や観光地を紹介するため日本全国をドレスとタスキとクラウン姿で飛び回り、発信する活動に力を入れてきました。この活動は改めて日本を知る自分自身の学びにもなっていて、大好きな活動です。

コロナ禍で司会の仕事が減った3年間は苦しい思いもしました。2020年3月の時点で年内の仕事がすべてキャンセルされ、ようやく再開できたのは8カ月後でした。誰も助けてくれませんし、このまま仕事が戻ってこないのではないかという不安もありました。ステージで突然声が出なくなる夢を見て飛び起きたり、精神的にとても苦しい時期でした。今は司会の仕事もアナウンスレッスンなどの講師業もだいぶ戻り、日常を取り戻しつつあります。ミセスコンテストにはもう出場しませんが、日本文化や伝統の発信は継続して行こうと思っています。

明星学苑の生徒さんたちに伝えたいのは、たとえ今思い描く夢が10年後、20年後に叶っていなかったとしても、根性さえあれば夢は追い続けられるし、諦める勇気を持てれば違う夢を追いかけられるという事です。未来が自分の力でどのようにも変えられるのと同じように、過去の失敗や傷も未来が良ければ笑い話に変えられます。だから今、目の前にある事に一生懸命頑張ってほしいです。