悩み多き時期を乗り越え、人生を切り拓けたのは明星学苑に通ったから

#097

八王子市議会議員

馬場貴大さん

ばば たかひろ

【明星高校1996年卒業】

八王子市議会議員の馬場貴大さんは、高校時代まで人生や将来について悩む事が非常に多かったと語ります。そんな馬場さんが海外で刺激を受け、政治家として活躍するようになったのは、明星高校在学時の恩師との出会いが大きかったそうです。人生を切り拓くきっかけとなった経験について、お話を伺いました。

高校卒業後、難民救済にボランティアに夢中に

父は明星高校の工業科出身で、2つ年上の姉も明星高校の女子部から明星大学に進学しましした。そうした安心感や親の勧めもあり、私も明星高校に入学することになりました。

高校時代は生徒会副会長と会長を務めました。後から知ったのですが、特進クラスからではなく総合クラスから生徒会長になったのは初めてのケースだったらしいです。生徒会活動に関心を持ったのは中学時代の経験が影響しています。担任の先生が、やんちゃだった私に学級委員長のような役割を与えて変えさせようとしたところ、その目論見通り私は活動にやりがいを感じて成績も向上しました。そのため、高校進学後も、みんなをまとめて引っ張っていく活動に取り組みたいと考えていました。

明星高校の生徒会長時代(前列右から四番目が馬場さん)

生徒会の活動以外では、東京府中ロータリークラブから活動費を頂いて社会奉仕活動を行うインターアクトクラブに参加していました。そのプログラムの一環で夏休みに交換留学で韓国に行ったところ、初めての海外という事もあり大きな刺激を受けました。将来について具体的に考えるまでには至りませんでしたが、それから海外への興味がどんどん増していきました。

高校を卒業して間もなく、ロータリークラブの青少年交換留学プログラムを利用して、ドイツで再び高校生として1年間生活することになりました。その間、アンゴラやベトナムの戦争で重傷を負った子どもたちをドイツに連れていき、手術とリハビリを受けてさせて本国に送り返す難民救済ボランティアに参加したのですが、その活動にすっかり夢中になってしまいました。より多くの難民を救済するため、資金集めに奔走するようになり、留学プログラムが終了してからもすぐに大学には進学せず、日本とドイツでアルバイトをしながら活動に携わる日々が4年間ほど続きました。

将来に不安がないわけではなかったのですが、何とかなるだろうと思えたのは、高校時代の恩師である上杉剛先生のお陰です。それまでの私は小さなことに悩みすぎる性格で、上手く行かないことを他人や環境のせいにしていましたが、その都度先生が親身になって励ましていただきました。自分自身で物事を考えたり、前向きに人と関わったりする事の大切さを教わったお陰で、将来や人生に対する考え方が変わった気がします。

政治家に転身し八王子市議として活動

難民救済活動を継続しながら、獨協大学の外国語学部に入学し、卒業後は空調機メーカーに就職しました。難民のための資金集めは継続しており、次は寄付集めではなく、独立して自らお金を稼いで貢献しようと考えていました。八王子市議会議員に立候補しないかと、石森孝志市長の後援会の方々からお声が掛ったのはそんな時です。政治家の道は全く想定していなかったので半年間ほど悩みましたが、後援会の方々の熱意に応える形で立候補することになりました。

少子高齢化で市の職員をはじめとする公的機関の人数が減っていく中、市政への要望はどんどん増えていく傾向にあります。そこで、市役所内部の仕事を断捨離したり、民間の力を活用して社会課題の解決を実現しようというのが私の主張です。八王子市役所には優秀な職員が沢山いるので、大きな組織の中で埋もれてしまわないように改革していきたいと思っています。

一つの試みとして、民間の英知を結集して作ったスマートフォンアプリ「てくポ」事業は、全国初ということもあり現在注目を頂いています。コロナ禍において人々が外出しなくなり、健康が悪化するのを防ぐために開発したアプリで、60歳以上の方々が歩いた歩数や脳トレメニューをこなした回数によって、電子マネーにポイントが加算される仕組みとなっています。このように、今後は市役所だけで施策をつくるのではなく、学術的な知見や民間の商品力、営業力などのコラボレーションをより一層市政に取り入れていくべきだと考えています。

私自身は、高校時代に上杉先生と出会えた事もあり、明星学苑に助けてもらったからこそ今の人生が充実しているとも言えます。ですから、学生の皆さんも困ったり悩んだりした時は、遠慮せず信頼できる先生に相談してみてください。ちなみに、かつて児玉九十先生は「心力歌(しんりょくか)」を唱和するのが日課だったそうですが、心を強くするそうした習慣も、学苑の良き伝統です。心の力を強くしていけば、自分次第で必ず人生を切り拓けるというメッセージを、在校生の皆さんに送りたいと思います。