宇宙研究の面白さに惹かれて猛勉強の末に東京大学へ

#079

東京大学理科一類

後藤佑太さん

ごとう ゆうた

【明星中学・明星高校2019年卒】

中学生の頃から東京大学への入学を目指し、理科I類に現役合格を果たした後藤佑太さん。学校に馴染めなかった小学生時代から一転して、明星中学に入ってからは伸び伸びと過ごし、天文学を学びたいという気持ちを原動力に勉強に打ち込むようになりました。東大合格を果たせたのは、勉強やその他の面でサポートしてくれた先生たちの存在も大きかったと語ります。

天文学実習への参加が東大を目指すきっかけに

今でも理由ははっきりと分かりませんが、僕は小学校3年生の3学期くらいからほとんど学校に通えていなかったんです。それで、両親とも話し合い、中学は公立ではなくしっかり面倒を見てくれる私立の中高一貫校が良いのではないかということで、通学にも便利な明星中学に入学することになりました。

明星に入って1週間後の最後の土曜日にまた学校に通えなくなってしまったのですが、その日のうちに担任の先生から自宅に電話が掛かってきて、気楽な気持ちで構わないから学校で話そうと誘われました。先生は僕の事情をちゃんと理解してくれていて、親も交えて雑談のような形でいろいろな話をしました。先生が「君は今リハビリの状態だから無理しなくて良いよ」と言ってくれたおかげで安心できたため、翌週からまた学校に通えるようになりました。それから高校3年生まで、無遅刻無欠席で過ごしました。

中学時代は何かを一生懸命頑張った記憶はあまりないのですが、将来の道を決めるきっかけとなったのが、3年生の時に体験したイベントです。東京大学木曽観測所で毎年開催される「銀河学校」という天文学実習に参加することになり、3泊4日で宇宙について研究を行いました。東大生の方々の話を聞いたり、最高性能の望遠鏡を使って銀河を観測したりするのが非常に面白いと感じ、宇宙への興味が大きく湧いていきました。そこで、東大生の方に宇宙の勉強をするにはどの大学に行けばよいか尋ねたところ、学科として天文学を中心に学べるのは東大か東北大しかないとのことだったので、せっかくなら日本一の東大を目指そうと決意したのです。

東大目指すきっかけになった銀河学校での研究の様子

高校に入学してからは、ずっと東大合格を目標に勉強を頑張りました。頑張れた理由の一つは、銀河学校に参加していた東大生や高校生たちが凄すぎたからです。中学時代は校内でトップクラスの成績だったのですが、彼らの話す内容が難しすぎて理解できず、このままでは無理だと思ったのが勉強へのモチベーションに繋がりました。周囲には東大を目指すと宣言していたので、先生たちからも勉強面や他の部分で手厚くサポートしていただけました。

東大に合格できそうな手応えを感じたのは、高校2年生の冬ぐらいの時期です。それまでずっとE判定だった模試の結果が、急にA判定やB判定に変わってきたのです。頑張ってきた積み重ねが、ようやく成果となって出てきたと感じました。ただ、結果が出ていなかった時期も、信念を強く持っていたので特に焦りはなかったです。勉強して新たな知識を得ることが好きで、楽しみながら受験勉強に取り組んでいたので、心が折れる瞬間は一度もありませんでした。ただ、入試本番の日は、かなりの時間を割いて勉強してきた数学の問題が難しすぎて、そこで初めて心が折れかけました。精神的にかなり追い詰められて試験2日目は会場に行くのをやめようかとも考えましたが、諦めたら3年間の頑張りが無駄になると思い、最後までやり切りました。そんな状況だったので、合格した時は非常に嬉しかったです。

大学院に進み宇宙の研究を続けたい

東大には合格できましたが、天文学科は競争率が高くて入れなかったため、現在は物理学科で宇宙の勉強をしています。天文学の魅力は、大昔から何千年も掛けて人々が研究してきたにも関わらず、まだまだ未知の部分が非常に多い点です。将来は大学院に進学して、本格的に宇宙の研究に取り組んでみたいと考えています。そこから先は、博士課程に進むか就職するか決めていないのですが、例えば宇宙ベンチャーを起業して、ロケットを飛ばしたりするのも面白そうだなと思っています。

明星学苑の良さは、受験勉強だけでなく進路相談や他の面でも、先生たちが親身になってくれるところです。特に印象に残っているのは、高校1年生と3年生の時に担任だった猪狩ゆみ子先生です。基本的に僕の考えをきちんと聞いて受け止めていただいたうえで、なんでもやりたいようにやらせていただき、とても感謝しています。

明星祭での理科部展示を行ったときの写真

僕は高校時代に勉強を頑張りましたが、明星であれば何でも伸び伸びとやれる環境が揃っていると思います。特に最近は課外活動も増えているようなので、在校生の皆さんは、そうした活動からもやりたいことのヒントを見つけて、積極的に取り組んでいけば良いと思います。

高校3年時に数学でお世話になった齊藤文彦先生。久々の再会も相対性理論の話で盛り上がる。