生徒会長として100周年記念品プロジェクト・高校生チームを主導 校外活動の経験も活かす

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明星高等学校2年 生徒会長 ※学年表記は取材当時のものです。

宇佐原嘉晃さん

うさはら よしあき

創立100周年の記念品制作プロジェクトの「高校生チーム」を主導し、オリジナルグッズの完成にこぎつけた明星高校生徒会長の宇佐原嘉晃さん。完成に至るまでの苦労や記念品に込めたこだわり。そして、生徒会として力を入れている、ジェンダー平等への取り組みなどについて語っていただきました。

「オール明星」でオリジナル記念品を制作

生徒会長として明星学苑の創立100周年記念プロジェクトに携わり、児童・生徒向けに「時計付きペン立て」、幼児向けに「お箸&箸箱セット」という2種類の記念品制作を実現させました。最初は生徒会として記念品制作にはあまり関わっていなかったのですが、想定以上に意義のある大きな企画だと気付き、運営会を立ち上げて本格的に取り組んできました。当初は既製品を使う案もあったのですが、せっかく形にするので明星に関わっていただいている皆さんの協力を得て、オリジナルなものを制作することになりました。

明星はSDGs推進校なので、コンセプトとしては「持続可能であり使い続けてもらえるもの」としました。児童・生徒たちのニーズをつかむために聞き取り調査などを行い、例えば小学生が時計を使うのか、ペン立ての口の部分はどれくらいの大きさが良いのかなど、議論を重ねていきました。幼稚園児向けにも最初は箸とスプーンとフォークのセットが挙がっていましたが、実用性や費用の面なども考慮して最終的に今の形となりました。

明星大学デザイン学部浅井治彦教授にプロダクトデザインの基礎を教わりながら、高校生自らも製品モデルの制作に挑んだ。

プロジェクトを推進するに当たって、苦労したのは委員会をどう動かしていくかという部分です。当初は一カ月ほどで終わる想定だったのですが、オリジナルの品をつくることになったため、結果的に半年に及ぶ長期プロジェクトになりました。生徒会とは別に、希望者で構成された委員会メンバーたちとの意見調整に時間が掛かることもありました。

実際の制作にあたっては、明星大学の先生にデザインを監修していただいた他、様々な分野に関する学苑内の専門家の方々、さらに卒業生の方々などの協力を得ることができました。外部の制作会社との交渉に関しては、自分が先頭に立って行わせていただきました。校外活動として、地域課題や社会課題に対してアクションを起こす高校生ボランティア団体や、高校生と政治を繋げるNPO団体に携わってきたので、そうした経験が活かせたと思います。

左:[園児向け]お箸セット。幼稚園でのお箸練習と食育教材を兼ね、ヒノキで丁寧に作られたオリジナル製品。右:[児童生徒向け]時計付きペン立て。時間を意識しながら未来に向かって歩んでほしいという願いを込めて制作。

将来の夢は国会議員

私が生徒会長選挙で掲げたスローガンは「夢のある学校へ」です。特に、校則で一番無くしたかったのがジェンダーに関する項目です。ジェンダーについて今は「男子」と「女子」しか括りがなく、たとえば「長髪の女子は髪を結びなさい」とか「男子は制服の第一ホックを閉めなさい」といったものですが、その一方でSDGs教育としてジェンダー平等を授業で教えている状況に矛盾を感じています。明星が目指す「世界に羽ばたく人材の育成」にも沿っていないので、生徒たちだけでなく、先生方にも「一緒に変えませんか」と訴えかけました。

生徒会長になって以来、ジェンダー項目に関する企画書を何枚も書いていますが、まだ一枚も通っていません。そこで、生徒たちの多様性に対する理解を深めるために、ジェンダーに関する校則を一定期間に限りフリーにする提案もしましたが、これも承認されませんでした。会長としての任期は6月まで残っているので、引き続き実現を目指して頑張っていきます。

将来の夢は国会議員になる事です。解決すべき課題は数多くありますが、今の日本で一番の問題は「コミュニティ不足」ではないかと思っています。地域によっては住民が集えるコミュニティがほとんどないところもあり、コミュニティが存在しないことによって外部との接触が遮断されている状況があります。コミュニティを作ることで新たな地域活動が生まれますし、人々の生活も豊かになると考えているので、そのために何を考えてどう行動するか。これは国としてアクションを起こさなければいけないことだと思うのです。

生徒会として解決すべき様々な課題はあるものの、明星学苑の良さは生徒たちが自由に活動させてもらえるところだと思います。たとえば、ある校外イベントにどうしても参加したかったため、校長先生に公欠願を出したところ、その意義を理解いただき認めてもらったこともあります。他にも、校外の研修会などで学んだ内容を、総合探求の時間で発表して先生方からアドバイスをもらえたりもするので、自分を高めるには良い環境であると感じています。明星の生徒たちが伸び伸びと過ごせているのは、そうしたところが理由だと思います。