「5つの柱」によって明星学苑の魅力を高め、発信する

#057

明星小学校 校長

細水保宏さん

ほそみず やすひろ

ライフワークである算数を軸に、学校の魅力向上に尽力している細水保宏・明星小学校校長。理数教育、英語教育、プログラミング教育の強化と共に、子どもたちの考える力や教師陣の授業力向上にも取り組んでこられました。これまでの施策と今後も学校の魅力を高めていくためには何が必要なのか、お話を伺いました。

子どもたちが生き生きと輝く学校にしたい

公立、国立小学校で教鞭をとり、その後明星学苑で広報活動を含めた教育支援室長として赴任しました。以前は何もしなくても子どもが集まった時代もありましたが、子どもの数が減った状況を鑑みて、一貫校としての明星の魅力を広く周知する役割を担うことになったのです。

そこで、3年後、6年後、9年後の明星小学校のあるべき姿を想像し、そのために今何をすべきか考えながら取り組むことにしました。ビジョンとして掲げたのは、「『賢さ』と『豊かさ』を兼ね備えた、輝きを持った子どもの育成」です。

子どもたちが生き生きと輝いている学校にするために必要だったのは、まず子どもたちの主体性を伸ばすことでした。明星の子どもたちは行儀作法がとても良く、挙手して指された子の意見をじっと聞いているというタイプが多い。一方、自己主張が苦手でプレゼンが上手くできないという面があったので、そこを変えたいと思いました。

また、外部に向けて明星の魅力を発信するために、「理数教育」、「英語教育」、「プログラミング教育」の強化という3つの柱を打ち立てました。当時は他の私学でもこれらを売りにしているところが少なかったので、PRすることによって保護者の方々の関心を引くことができました。3つの柱による施策の成果がある程度出た後は、次の3年間に向けて、子どもたちが自ら課題を発見し、解決法を考える「探究学習」を4つ目の柱として取り入れました。さらに5つ目の柱として、教師の力を向上させ、「教師力と授業力」をブランドとして発信することにも力を入れてきました。

まず「算数の明星」をきっかけに

算数は小さいころから好きでした。答えが1つで論理的に筋が通っていなければならないし、問題の解き方がいろいろあるという点も面白い。小学校の教師になったのは、算数という教科を通じて学級づくりがしたかったからです。日々変化する子どもたちの姿を見ることは、とても楽しく感じます。

校長職に就いてからは、まず、算数という教科を通して学校づくりをしようと考えました。教員自身が算数の楽しさを味わい、授業力を向上させるために「明星算数講座」を開設し、1年に3回実施しています。私学は先生の異動がなく、先生たち自身が自分の教え方で良いのかどうかが分かりにくいため、他の先生のやり方を見る機会を設けることにしたのです。3年間は明星の先生だけで行っていましたが、現在は外部からも講師も招いています。こうした取り組みにより、「算数の明星」としての認知度がかなり高まりました。また、算数講座と共に、1人の先生が授業をして、みんなで協議する「校内授業研究会」という試みもスタートさせ、1カ月に一度、算数の授業に限らずさまざまな科目の授業を、他の先生たちが観て語り合うようにもしています。

教えたいことを、引き出し、価値づける

日本の教育は、問題を解く力は教科書を通じてずっと教えてきました。しかし、問題を自ら発見する力とうまくいかない時に原因を考えてさらに追究していく力がこれからの時代は必要となってきます。そこで、その力をつける場を数多く創っていこうと思っています。先生が問題を出して教えるのも良いのですが、子どもに問題を見つけさせたり、作らせたり、同時に「次に何をやるか」を問いかけて、子どもたち自身で考えることによって、先の展開が読めるようにしていく。そうした日々の授業の積み重ねによって、子どもたちはどんどん変わってきます。

授業づくりで大切なことは、まず「どんな力をつけたいのか」それを明確にすることです。 次に、つけたい力を教えるのではなく、引き出し、そして価値づけることです。先生から教えたいことを言ってしまうと、主体的に取り組む子どもは育ってはきません。むしろ、教えたいことを子どもから引き出すように考え、それに的確に価値づけていくと、子どもたち自身がヒーロー、ヒロインになれます。先生のちょっとした一言で、子どもが大きく変わってきます。また、その価値づけは、できた、できないといった結果だけでなく、むしろどのように動こうとしたか、どこまでできたかといった過程を捉えて価値づけると効果的です。

明星で学びたいと考える子がもっと増えるよう、今後は5つの柱をさらに強化していきます。また、理科室を改築して理科と数学の世界を遊びながら楽しく学べる理数ワールドのような空間を創ったり、泊りがけの算数キャンプを開催して子どもたちを連れていったりしたいとも考えています。「日本中の子どもを算数好きにしたい」というライフワークとともに、子どもと保護者と一緒に、算数に限らずに「学ぶ楽しさ」を伝えていきたいと思います。

人気のYoutTube「細水校長ワクワクチャンネル」も公開中。日々の教育で心がけている「学びの空気」について、具体的な教科・テーマを通じ、 ワクワク聴いてスカッとなれるコンテンツを発信しています。