生徒有志チーム主導で「ジェンダーレス制服」を導入

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(写真:ジェンダーレス制服の導入に尽力したチームメンバー
左から松村優人さん、藤井日菜乃さん、竹内菜々美さん、井上萌衣さん)

明星高等学校3年 ※学年表記は取材当時のものです。

藤井日菜乃さん

ふじい ひなの

明星高校では、多様性への配慮への取り組みを制服面からアプローチ。2022年4月から生徒主導で“ジェンダーレス制服”を導入しました。

ジェンダーの問題に興味を持ったのは、高校1年生の総合探求の授業がきっかけです。実際に自分たちに何ができるのかを考えてみて、男子用と女子用の2種類しかない制服の改革に取り組むことになりました。グループで先生たちに対してプレゼンテーションを行ったり、試作品のデザインに対して私たちの意見をフィードバックしたりした結果、2022年4月に女子用のスラックスが導入されることになりました。既に着用している生徒も何人かいるんですよ。

女子用スラックスに関しては、ジェンダーの観点からでなく、冬の防寒用に購入したいという需要があることも分かりました。今後は女子のネクタイ、男子のブレザー、男子のスカートの導入をひとつずつ目指していきます。本当はすべて同時に導入されるのが理想的でしたが、先生方やOB、OGのみなさんなどにも納得していただける形で、できる限り進めていきたいと思っています。

この活動を通じて、ジェンダーの種類が想像以上に多い(SNS「Facebook」では58種類の選択肢を提供)ことを知ったり、日常生活で何気なく使われている言葉に敏感になったりと、さまざまな学びがありました。特に、日頃の言動に関しては、「もし自分が当事者だったらこの言葉は傷つくのではないか?」と、少し過剰かなと思うほど意識するようになりました。スウェーデン大使館を訪問させていただいた際には、ジェンダー問題に対して日本が遅れている部分も認識出来るなど、さまざまな気付きがありました。

制服改革を実現するために、当事者の目線や学校側の目線、世代ごとの認識の違いなどを意識するようになり、物事を多面的に見られるようになったと思います。同時に1つの物事を完遂するプロセスを学べたのも大きな収穫です。私たちの代で何とかネクタイの導入までは実現し、後輩たちにうまく引き継いでいけたらと考えています。

※高校1年生の授業「総合探求」をきっかけに2020年にチームを結成。2021年に制服改編に向けて始動。同8月に新聞社の企画でスウェーデン大使館を訪問し、大使へインタビューをしたことがきっかけとなり、同12月に大使が明星高校へ来校。本チームも意見交換会に参加し、英語でプレゼンを行った。2022年4月よりジェンダーレス制服(女子のスラックス)導入開始。現在、チームは継続して活動しており、SNS上でジェンダーに関する情報発信も行っている。