明星学苑の総合音楽監督として幅広い年齢層の指導に挑戦

#044

明星学苑総合音楽監督

玉寄勝治さん

たまよせ かつはる

2023年4月から、明星学苑の総合音楽監督に就任する玉寄勝治さん。小学生から大学生まで幅広い年齢層の子供たちを指導してきたノウハウを発揮して、新たなステージでの活躍が期待されています。子供たちに音楽を教える上で大事にしている事は何か、お話を伺いました。

制限を設けず長所を伸ばす指導

私が最初に音楽の手ほどきを受けたのは、小学校教師でピアノを弾いていた母親からです。小学生時代は地元沖縄の金管バンドでパーカッションを担当し、中学からは吹奏楽部でトロンボーンを始めました。その後、東京の国立音楽大学に進学して音楽を専門的に学びましたが、演奏者としての限界を感じ、いったんは会社員となりました。それから様々な人たちとのご縁で音楽指導に関わるようになり、今に至ります。

音大在学中に府中市のジュニアバンドの講師を3年間務めたこともあり、当時から音楽を教えるのは得意だと自覚していました。田舎の出身なので、指導する前は東京の子どもたちに対して先入観があったのですが、実際に教えてみると自分が子供の頃と同じで、みんな楽しく一生懸命演奏していました。その姿を見て、「将来は子供たちを育てて日本一にしたい」という思いが芽生えました。

会社員時代も、週末を利用して小学校や中学校の吹奏楽部に教えに行っていました。明星の卒業生で日野市の中学校で吹奏楽部の顧問を務めておられた方から、中学校での指導のお話を頂いたのがきっかけです。その後、音楽の授業も受け持つようになり、ご縁が広がって羽村第一中学校の吹奏楽部での指導も行うようになりました。さらに、小中一貫教育の音楽学習コーディネーターとして、羽村市の小学校7校、中学校3校の音楽を繋げる仕事を手掛け、明星大学での音楽コースの指導や学友会吹奏楽団で音楽監督のお話もいただきました。人との繋がりによって、まるでわらしべ長者のように仕事が増えていった感じです(笑)。

明星大学学友会吹奏楽団は、2022東京都アンサンブルコンテスト(都大会)において金賞受賞(3位)

羽村一中の吹奏楽部では全国大会に10回出場を果たし、うち5回は 金賞を受賞することが出来たので、「子供たちを日本一にする」という目標は達成できたと思います。中学生を指導する際意識しているのは、野に咲く野草のようにすくすくと伸ばすことです。成長期真っ盛りの子どもたちの吸収力は非常に大きく、朝できなかったことが昼休みにはできるようになったりします。ですから、基礎を徹底的に繰り返す以外はあえて制限を設けるようなことはせず、できるだけ長所を伸ばすようにしています。

音楽の学力である「音感」を伸ばしたい

私の指導法は基本的に、子供の頃に教わったやり方を自分の言葉に置き換えているだけです。小中学生時代に所属していたバンドでは、東京から沖縄に定期的に先生を呼んだり、外国人の先生から学ぶ機会を与えていただいたりしました。また、高校時代にトロンボーンを習った先生から米国での音楽指導の話を伺ったのも役立っています。米国では小中学校の授業で吹奏楽を教えるため、音を出したりきれいに演奏したりするノウハウがしっかりとあるのです。そうした指導法は当時の日本にはないものでした。

指導者としては毎日のように壁に当たっていますが、多くの場合、問題の解決法は生徒が教えてくれます。一つの教え方がダメでも、別の教え方をするとその生徒にピッタリはまって、大きく伸びるケースもあります。声かけの仕方は、生徒の年齢や演奏経験、性格などを考慮して工夫しています。特にコーチングを専門的に学んだわけではないですが、良い先生がいると聞けば全国どこにでも学びに行きます。基本的に子供たちと一緒に演奏を楽しむのが好きなので、教えているという感覚はあまりないですね。演奏で上手く行った時の子供たちの笑顔や、演奏をやり切ってステージで拍手をもらっている時の嬉しそうな顔が大好きなんです。

明星大学学友会吹奏楽団 第54回定期演奏会(2023年2月10日)

2023年4月から明星学苑で総合音楽監督として、小学生から大学生まで指導することになりました。就任に際して、明星大学元学長で学苑特別顧問の小川哲生先生から貴重なアドバイスを頂きました。学力とは、掛け算の九九のように一度覚えたら忘れないものを指します。楽譜を読めて音が取れるようになれば、それも学力だという解釈です。専門用語でソルフェージュと言いますが、楽譜を見て音が取れる、つまり音感が音楽の学力となります。ですから、音楽を教えるのは勉強を教えるのと同じなのです。音感教育は、少なくとも中学生ぐらいまでに始めたほうが良いので、明星で小学生から音感を教えたら、子供たちがどうなるかワクワクしています。

明星大学学友会吹奏楽団 第54回定期演奏会(2023年2月10日)

保護者の皆様、お子さんに一生使える確かな音感を与えませんか! 4月から学苑で音感教育と吹奏楽指導を始めますのでご興味のある方は説明会に是非いらしてください。

前述した高校時代の恩師からは、アメリカでは大学教授や博士が小学校など初等教育の現場に教えに来るのは珍しくないので、私もその役割を果たせば良いとの助言を頂きました。研究室に籠るのではなく、子供たちと触れ合いながら実践することでこちらも洗練されますので、明星学苑で貴重な機会を頂けたと思っています。