大学時代、恩師との出会いで野球選手としての未来が拓ける

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2021年10月13日の阪神戦(東京ドーム)での、27試合連続安打を達成した打席(写真:読売巨人軍提供)

プロ野球選手(読売巨人軍)

松原聖弥さん

まつばら せいや

【明星大学 経済学部経済学科出身】

明星大学出身としては、初めて育成選手からプロ球団の一軍に上り詰めた読売ジャイアンツの松原聖弥さん。外野手としてめきめきと頭角を現し、2021年シーズンには、張本勲選手に次ぐ歴代2位となる27試合連続安打の記録も達成しました。今後もますます活躍が期待される松原選手に、大学時代の話とプロ選手としての目標をお話しいただきました。

外野手への転向が大きな転機に

野球は小学生の頃に始めて、仙台育英高校の野球部の先生の推薦で明星大学に入りました。入学を決めたのは、当時、明星の野球部が一部リーグで2位の成績で強かったのと、東京に行きたかったのも理由でした。

明星大学出身の野球選手としては、初めて育成選手からプロになりましたが、大学3年生ぐらいまではプロになるイメージは全くなかったです。入学したころは「社会人になっても野球を続けられたら良いな」程度の気持ちでしたね。野球以外に興味がなかったので、続けられる限りは続けようと考えていました。ドラフト前は楽天と巨人から調査書が来ていたので、呼ばれるならどちらかとは思っていましたが、本当に指名されるのか不安もありました。ですから、ドラフトで名前が呼ばれたときは嬉しいというより驚きのほうが大きかったです。

大学時代は寮生活で、授業への出席と練習を繰り返す日々でした。基本的に練習はあまり好きではないのですが、やれと言われたことは続けられる性格なので、とにかく走って下半身を中心にウエイトトレーニングにも力を入れました。大学に入るまであまり理論的なことは学んでこなかったのですが、浜井澒丈監督(現名誉監督)の指導のお陰で、バッティングの技術がかなり向上しました。下半身や股関節周りの使い方などを教えていただき、それが今に繋がっています。

また、選手として大きな転機となったのは、内野手から外野手に転向したことです。もともと高校生の頃からバッティングには自信があったのですが、守備には不安を持っていました。大学に入ってからも途中までは内野手だったのですが、ある時イップスになってしまい、スローイングが上手くできなくなってしまいました。その時、浜井監督が外野にコンバートしてくれたお陰で、守備面の不安がなくなりました。外野手は内野手より投げる時に力を加減しなくて良く、俊足も活かせるので自分に合っていました。守備が安定するとバッティングにも集中できるようになり、成績も伸びていきました。もし、内野手のままだったらプロには絶対になれていなかったでしょう。浜井監督と出会わなければ、自分は平凡な選手で終わっていたと思います。

調子が出なくても野球が嫌いになったことは一度もない

自分のプレーに関しては、どのプレーも2番目というか、これは他人に負けないというポイントがないと思っています。ただ、さまざまなプレーをそれなりのレベルでこなせる部分や、積極性を選手としての売りにしていきたいですね。

一喜一憂しやすい性格ですし、メンタルは決して強いほうではないですが、ネガティブなことは一晩寝れば次の日には大体忘れてしまいます(笑)。プロになって一軍の試合に出るまでに4年かかりましたが、特に焦りはなかったです。二軍の試合ではしっかり打っていたし、チーム事情で一軍に上がれないと理解していたので、「いつ呼ばれるのかな」と思っていました。

2022年試合にて(写真:読売巨人軍提供)

プロとして初めて出場した一軍の試合はコロナ禍で無観客だったので、意外と緊張しませんでした。2021年のシーズンには、張本勲選手に次いで歴代2位となる27試合連続安打の記録を達成できました。ただ、あまり凄いことを成し遂げたという自覚はありません。記録を更新している時は決して調子が良い感覚ではなく、たまたま運よく安打が続いた感じで、内容には満足していなかったです。2022年のシーズンはあまり振るわなかったので、来季はまず開幕スタメンを勝ち取ることと、規定打席に達することが目標です。打率は2割7分4厘がキャリアハイなので、そこも超えていけたらと思います。

今シーズンの調子は今一つでしたが、基本的にずっと調子よく楽しんでやってこられたので、野球をやめようと思ったことは一度もありません。練習や試合、移動などで身体的に辛いことはありますが、気持ちが辛くなることは全くないです。好きな野球で活躍して、お金を稼げることに大きな充実感を覚えています。

大学生の皆さんにも、何事に対しても「諦めずに頑張る」というよりは、「楽しむ」姿勢を大事にしてほしいです。楽しんで伸び伸び取り組むことが自分の成長につながり、良い結果にも繋がっていくのではないでしょうか。