明星学苑は府中市にとって無くてはならない存在。これからも関係を深めていきたい

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府中市長 元府中わかば幼稚園長

高野律雄さん

たかの のりお

【明星大学通信教育課程・幼稚園教諭免許取得】

明星学苑と府中市は、これまで様々な活動を通じて繋がりを深めてきた他、数多くの卒業生が地域で活躍しています。2022年には明星中学・高等学校と協働協定を結び、さらに関係を強化していく姿勢を示しました。府中市長の高野律雄さんに、今後の明星学苑と府中市との関り方についてうかがいました。

明星の生徒と積極的に交流して意見を取り入れる

私は1984年に立教大学を卒業し、いったんは民間企業に就職したのですが、幼稚園教諭の資格を取得するために働きながら明星大学の通信教育で3年間学びました。その後、父が経営する府中わかば幼稚園に勤務し、園長も務めました。子どもたちと接する毎日は楽しかったですし、保護者の方々と共にその成長を見守ってきた経験は、政治家になってからも活きていると思います。

府中市議会議員を3期務めた後、2012年に市長選挙に当選し、以来11年間市政に携わってまいりました。その間、待機児童問題の解消や、お子様の発達に不安を持つ家庭のために児童発達支援センターの設立などに取り組んできました。ゼロから支援センターを作るのには時間が掛かりましたが、2024年には完成する予定です。いろいろな方々の声を聞きながら、子どもたちを見守る施設にしていきたいと考えています。

東日本大震災の直後に市長に就任したこともあり、地域との繋がりや市民協働に力を入れてまいりました。地域の皆さんと共にまちを作っていくというのが、市長としての私の基本姿勢です。様々な分野から市民の皆様のご意見をうかがうため、「市長と語る会」という座談会も定期的に開いています。そこで、明星学苑の生徒さんとも語る機会があり、大いに参考にさせていただいています。例えば生徒さんから、「府中市のホームページは動画が少なくて面白くない」とはっきりと言われたこともあります。我々としてはさまざまな情報を取り入れて、十分な出来だと自負していたのですが、グサッと来ました(笑)。ただ、時代は動いているので、自治体もいろいろな方面から発想を頂いて、常に変化していかなくてはいけないと感じています。

また、世界との繋がりを意識した市政にも力を入れていきたいと考えています。府中市はウィーンのヘルナルス区と30年前から友好都市関係にあり、先日、現地を訪れて区長とお話することができました。もともとは当時のウィーン市長が日本に関心を強く持っていただいていたのがきっかけで、同市は東京都では葛飾区、世田谷区、台東区、府中市と今でも友好関係を続けています。中でも府中市とヘルナルス区は高校生を留学生としてお互いに派遣し合う制度があり、生徒さんたちにとっても有意義な経験を積める関係となっています。歴史も言葉も人種も違う者同士が実際に交流し、理解を深め合うことは大きな意義があるものと認識しています。

生徒たちと共に地域の未来を作る

明星学苑は府中市にとって無くてはならない存在です。学苑創設者である児玉九十先生は府中市の名誉市民でした。また、市内には明星出身者が数多くいらっしゃいます。また、日野市にある明星大学の学生さんも、以前からサークル活動で府中市のイベントにボランティアで参加いただくなど、関わりを深めてきました。2022年3月には、明星中学・高等学校と府中市は協働協定を結びました。生徒さんたちが市の各課と連携し、地域行事の運営補助や選挙啓発、公共施設や駅周辺の清掃活動などに取り組んでいくものです。明星学苑は府中市内にある唯一の私立中高一貫校なので、今後も繋がりを大事にしていきたいと考えています。

教育分野で今後取り組んでいきたいのは、前述した発達支援センターの他、世界を視野に入れて「本物」を見に行ける環境を作っていくことです。現代はインターネットなどから様々な情報が手に入りますが、どんなことにせよ、実際に足を運んで本物を経験するための積極的な行動力が身に付けられるような教育を実現していきたいです。明星学苑の生徒さんたちは、非常に前向きで、自由に学んでいて、自立している方が多い印象があります。これから様々な分野で本物を目にし、経験を積んでいってほしいと思います。

今後も明星の生徒さんたちとは共に未来を考える機会を作り、アイデアを頂いて実践していくつもりです。その際、中高生たち自身が関わって、地域との繋がりがさらに深まっていく。そんな姿が、学校にとっても府中市にとっても理想的だと思います。