2025.09.18

園長ブログ

園長ブログ 徒然なるままに No.2

(5)やる気を引き出す声掛け
 子どものやる気を育てるには、まず、よいところを見つけて「ほめる」声掛けをすることです。「ほめる」声掛けは、その子が「自分のよいところ、頑張っているところを見てくれている」との安心感も伝えることができます。明星幼稚園では、子どもの様子を細かく観察しながら、一人ひとりに合った声掛けを心がけています。  ある日、年少のaさんが、初めて一人で靴を履くことができました。そのとき担任が「すてき!(ぱちぱち)」と大きな拍手を送ると、aさんはとても誇らしいそうな笑顔を見せてくれました。このように、成功を認められると、子どもは「次も頑張ろう」と前向きな気持ちになります。  そのaさんと先生とのやりとりを見ていたbさんが自分で靴を履こうと動き出したのです。ところがすぐにはできません。その姿に気づいた担任が「自分で頑張ってやろうとしている、すごいね」と声を掛けました。その一言に、bさんから笑顔がみられました。

(6)やる気を失わせない声掛け
 「できてすごいね」ばかりでは、逆に「できなければだめなんだ」とプレッシャーになってしまうこともあります。そこで私たちが大切にしているのは、「できた」結果だけでなく、「がんばっている過程」を認めること。「自分でやってみたんだ、すごいね」「工夫していたね」と、努力や試行錯誤の過程に気づいて、一言声をかけてあげることが、子どもの自己肯定感を高めると考えています。   「できた」「できない」は目に見える形で現れてきます。私たちは、むしろ「ここまでできた」「こうすればできるようになる」といったより具体的な声掛けができるようにと思っています。

(7)困っている時の声掛け
 子どものやる気を育てるには、「ほめる」だけでは不十分な場合があります。できなかったときにどのように声掛けをしたらよいか、やる気を失わせない声掛けも大切です。  子どもが困っているときには、「こうすればいいよ」と声をかけるとその場はできるようになるかもしれません。むしろ、「どうしたらいいと思う?」と問いかけ、自分で考えるきっかけを与える声掛けをと考えています。すぐに正解ややり方を教えるのではなく、気づきを促す言葉がけが自立心を育む土台になります。  ご家庭でも、日常の中で「何ができたか」ではなく、「どんな思いでやっていたか」を観察してみてください。できたことに対して「すごいね」とつい言いたくなりますが、できないとき、困ったとき、「見ていたよ」「がんばっていたね」と伝えるだけでも、子どもの心に届きます。  子どもは、認められることで自身をつけ、その自信がやる気を育てます。ぜひ日々の中で、温かく寄り添う「声掛け」を心がけてみてください。

(8)子どもの主治医になる
 同じ「声掛け」でも子どもにとって有効であったりそうでなかったりします。その意味からも先生方には、子ども一人ひとりの「主治医」になってほしいと伝えています。  お医者さんは、風邪を引いたでは薬が出せません。のどが痛いのか、鼻水が出るのか、熱があるのか、その症状によって処方する薬が変わってくるからです。その子に有効な薬が出せるには、まず子どもの様子を的確に捉える力が必要になってきます。「できる、できない」といった目に見えやすい状態は誰でもわかります。しかし、「どこまでできているか」「どこにつまずいているか」を捉える力は、主治医にならなければわからないと言えます。  その意味からも保護者の方々にもぜひお子様の「主治医」になってもらいたいと思っています。

(9)みんな違ってみんないい
 小学校のどの会社の国語の教科書にも、金子みすゞさんの詩が載せられています。金子みすゞさんの詩「私と小鳥と鈴と」の最後に、「みんなちがって、みんないい」との有名な一文があります。「みんなちがって、みんないい」はそれぞれの個性を大切にすることが感じられる言葉ですが、実はその一行前に「鈴と、小鳥と、それから私」と、「私」の位置が表題「私と小鳥と鈴と」とは変わっている一文があります。表題の「私と小鳥、鈴」ではなく、「鈴と小鳥、それから私」の表現の中に、自分優先ではなく相手を思いやる気持ちをもって「みんなちがって、みんないい」に、それぞれの個性を大切にするという温かい気持ちがより伝わっていくと感じています。

(10)ジグソー・パズルで絵を創る
 みんなで一緒に何かを行うとき、いつもジグソー・パズルで1枚の絵を作っていくイメージが頭をよぎります。ジグソー・パズルのピースは、同じものが1つもなく、1つ1つ異なっていると聞いたことがあります。例えば、1000ピースのパズルであれば、1000個のピース全てが異なる形をしているというのです。  異なっているものが集まり、1つの作品を創り上げる。それが私の中で幼稚園づくりとジグソー・パズルとを結びつけているところだと思っています。  1つ1つ異なるもの、それが個性だと考えます。と同時に、個性と紙一重の関係にあるのが、「独りよがり」「わがまま」です。「独りよがり」「わがまま」は、ジグソー・パズルで言えば、1つ1つのピースが金平糖のように先がとがっている状態です。それでは、美しい1枚の絵は創れません。先のとがったピースがぶつかり合うことによって、先が丸くなり、みんなとうまく組み合うピースとなっていくのです。その場が幼稚園だと考えています。  子どもたちだけでなく、教師も保護者の方々も個性をもっています。子どもたちの成長から学びながら、私たちもうまく組み合うピースとなり、素敵な幼稚園を一緒に創っていきたいと思っています。

園だより一覧に戻る