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電気電子工学は
安定した電力供給の鍵になる
日本では野球がキングオブスポーツと言われ、多くの運動の要素を含んでいます。同じように電気電子工学もキングオブエンジニアリングと言えます。身のまわりに電気を使っていないものを探すのは難しいように、工学の基礎となる多くの要素を含み、応用の範囲が広いのが特徴です。
―電気電子工学の道に進んだきっかけは何ですか?
―電気電子工学の専門家として、 社会に対して訴えていきたいことは何ですか? 私の専門は電力系統工学といいます。発電機や送電線といった個々の機械を扱うのではなく、電力の発生から消費するまでの過程を扱います。その中でも、決して停電しないシステムを作ることを大きな目標にしています。現在、震災後にこのようなトラブルが起こったことは、すごく悔しく責任を感じています。
今こそ、技術者が
挑戦しなければいけない
震災後に電力供給力が落ち、皆さんご存知のとおり計画停電が実施され、一部の地域では、公共交通や病院、市役所、警察といった公共施設も停電の影響を受けました。家電もそうですが、社会システムも停電には弱かったのです。本来なら生命や安全にかかわる重要なところは停電させないようにしておくべきです。日本の電力システムは、軽度の事故には十分に備えてありましたが、大きな自然災害に対しては弱かったと改めて感じています。
―震災復興を含め今後行っていかなければならないことは何でしょうか? これからは万が一、発電所の半分が止まっても問題ないシステムを構築する必要があります。需給のバランスを取る上で私たちの次世代電力網(スマートグリッド)の研究が活かされていくと考えています。また、無限に使える自然エネルギー(再生可能エネルギー)の利用技術の研究に力を入れており、太陽光パネルの効果的な設置方法や、天候などのばらつきによるエネルギー出力の変動を蓄電池で補う方法を開発しています。
教育者として、伝えていくこと
―学生の資格取得の支援にも力を入れていらっしゃいますが、 どのような思いで行っているのですか? 大学は専門学校と違って職業訓練の場ではありませんが、試験に合格して資格取得することを勧めています。それは「大学で学んだことは社会では使えない」と誤解する学生や、大学で勉強する目的を見失う学生が少なくないからです。例えば電気主任技術者の資格は、卒業後に資格認定を受け取得する道もあるのですが、在学中の試験合格を一つの目標として取り組み、努力が実を結ぶという経験を学生時代に積んでほしいのです。私としても「先生、合格しました!」という学生の嬉しそうな報告を聞くのは教師冥利に尽きます。
―日ごろはどのようにして研究を進めていくんですか? 電力会社や研究所などとの共同研究や委託研究、研究補助をさせていただいています。外部から研究費をいただくということは自分の研究に価値があるかどうか、一つの客観的な評価基準となりますので、積極的に取り組んでいます。
―授業や研究室内において、心がけている点がありましたら教えてください。 まず、大学の研究室は主役の学生がいないと話にならないということです。勉強しているかどうかは別として、ワイワイガヤガヤ学生が集まってくれると活気がでます。学生たちは研究室で食事を作ったりもしているんですよ。この活気が良い研究には必要だと思います。そこで学生が集いやすい環境を整え、楽しい集団生活ができることに気を遣っています。この研究室生活の中で先輩後輩の関係を経験し、集団の中の自分のありかたも学んでもらうようにしています。私にとっても学生と接しているときと研究しているときが一番楽しい時間です。
―「伊庭研究室」のここだけは負けない!というようなものがあれば教えてください。 合同卒業研究中間発表会や国内や海外の学会参加にも力を入れています。学生には研究発表の準備やリハーサルが忙しく負担になりますが、この経験が技術者として将来の糧となることは間違いありません。そしてこの研究室を巣立っていく学生たちが、将来電気設備や電力技術の分野で日本の社会インフラを支えてくれるのを楽しみにしています。
※1次世代送電網(スマートグリッド) 電力の流れを供給側・需要側の両方から制御し、最適化する送電網。発電の拠点を分散し、需要側と供給側との双方から電力のやり取りができる。
発電所や変電所、工場、ビルなどの受電設備や配線など、 電気設備の保管監督の仕事に従事することのできる社会的評価が高い資格。
伊庭 健二 |