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地域社会に貢献できる
環境教育リーダーを育成 いわき明星大学では、科学技術学部の「地域連携による環境エネルギー教育者の養成」の取り組みが、文部科学省「平成19年度現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)」に採択されたことをはじめ、環境・エネルギー問題に対して積極的な施策を展開しています。生命環境学科3年の石川さんと尾形さんもそうですが、“環境”に強い関心を抱く人が多いのが特色です。 尾形 宮城県の田んぼに囲まれた地域で自然と触れ合いながら育ったせいか環境問題に興味があり、大学でも環境について真剣に学んでみようと思いました。また理科のなかでも生物が得意科目だったので、いわき明星大学の科学技術学部なら「環境」と「生物」の両方を学べると考えたのです。 石川 私はもともと人間を含めた生物に興味がありました。大学で学ぶうちに生物が生きていくためには自然環境との共存が重要なテーマであることを知り、いまは環境に対して大きな興味を持っています。 環境問題にアプローチする2人は当然のように、地域社会に貢献できる“環境教育リーダー”の育成プロジェクトにもチャレンジ。第1ステップの「E3Staff」は既に修得し、第2ステップ「E3Tutor」、第3ステップ「E3Leader」をめざしている段階です。先日も第2ステップに必要な実習「自然体験プログラム」に参加。自然に囲まれた山荘に宿泊し、プログラムの責任者でもある学長や多くの仲間と環境について語り合う機会がありました。 尾形 現場では地元の子どもたちに森林ガイドの実習を行うなど、自然を体感できる貴重な時間を過ごせました。 「環境」への関心がますます高まる2人が、ふくしま・湖北省「グローバルエコ」交流プログラムの存在を知ったのは、共通の友人からの紹介でした。話を聞いたとき、迷うことなく2人とも「参加したい」と考えたそうです。 石川 日本の環境は目で見られるし、体感もできるので、他国の環境問題への取り組みを自分の目で確かめてみたいと思いました。 とはいえ、申し込めば誰もが参加できるわけではなく、面接と小論文による選考が実施されます。しかも参加人数は7名のみ。非常に狭き門でした。 尾形 いわき明星大学からも他に受けた学生がいましたが、結局私たち2名が合格。どちらも初の海外なので、石川さんと一緒なのが心強かったです。 7名の参加者のうち、同じ大学から複数名が選ばれたのは、いわき明星大学だけでした。参加者の条件に明記されている「地球環境、エネルギー問題等について学習・活動を行っている方」という条件に、いかにマッチした教育を実践しているかの証明ともいえます。 急ピッチで開発が進む
中国の自然環境への影響
石川 最初に訪れた施設が「長江カワイルカ養殖基地」でした。ところが、近年の開発工事の影響で川が汚染され、さらに工事による超音波の影響などで、カワイルカが絶滅したそうです。代わりにスナメリが養殖されていましたが、いきなり生命に関わる問題に直面してショックでした。 尾形 私は水質調査の分野に興味があるので、中国の水環境について特に知りたいと考えていました。武漢市内で新しい下水処理場を見学してその立派さに驚きましたが、その一方で、見た目にも汚れていて死んだ魚が浮いている川があります。しかも、その川で現地の子どもたちが泳いでいたりするんです。街がどんどん立派になっていく過程で、忘れ去られたような環境汚染が現存する“格差”に胸が痛みました。
尾形 三峡ダムは、日本の県がひとつ丸ごと入ってしまうぐらい大きいダムです。現場に行くと反対側の岸が見えないので、ダムというより湖や海のように感じます。そして構想によると、このダム設備がすべて完成した際には、中国本土の8割のエリアの電力を賄うことができるというのです。 石川 しかも毛沢東の時代から進められている計画らしく、規模といい、歴史的背景といい、中国のスケールの大きさを感じました。ただし、汚染が進む環境面、土砂崩れなどの安全面、水路の確保などの運営面をはじめ、問題点が山積みで、現在は計画がストップしている状況です。 先入観なしに自分の目で
真実を確かめることが大切 今回の湖北省への研修プログラムは、中国の環境・エネルギー問題の現状を視察すること以外に、現地の人々との交流も大切な目的のひとつでした。特に中南民族大学、華中科技大学、武漢大学など同世代の学生たちとの交流は、2人にとっても有意義な時間となったようです。 石川 中国の学生は、想像していた以上に勉強熱心です。私たちと同じように環境について大学で学んでいる学生もいましたが、時間にすれば私たちの倍以上は勉強しています。行く前は何となく、日本の環境対策についていろいろと教えてあげようと、少し余裕を持っていましたが、その勉強に取り組む姿勢や真摯さに接して、逆に刺激を受けて帰って来ました。 尾形 やはり現地でいろんな人と話をし、それで初めて本質が見えてくることがあると思いました。例えば中国の「女性の自立」についてインターネットで調べると、一昔前の日本のように女性は男性より控え目で、社会進出する人も少ないと書いてあったんです。ところが現地に行ってみると女性の社会進出も活発で、日本と同様かそれ以上に自立する女性が多いことを知りました。テレビや新聞以上に“リアルタイム”だと信用しているインターネットで収集した情報でさえも、実際と異なることがあるんですね。 石川 確かに自分の目で見ることは大切だと私も感じました。現地に行く前の予習も必要ですが、あまり先入観を持ちすぎるのも良くないと思います。最近、日中関係の悪化が報道されていますが、中国では一切そういう雰囲気はありませんでした。逆に日本に友好的で、日本に強い関心を持ってくれる人も多く、とても楽しく交流できました。せっかく日本に好意を持つ人がたくさんいるのに、メディアの偏った報道で、それらが打ち消されるのは問題だと思います。 地域に、社会に、
そして世界に貢献するために 石川 現地の方々との交流は、思った以上に有効で実りあるものになりました。それに対し、中国の環境問題は、思った以上に深刻で、今後大きな改善が必要だと感じました。最初に空港に降り立ったときから、鼻を突くような臭いがするなど、空気の悪さに気づいたくらいです。よく中国の空は工場の煙がひどくてもやっていると聞きますが、まさにその通りの空の色でした。 尾形 文明が発展する代償として、空や水が汚染されていくのは悲しいことです。せっかく環境について学んでいるので、個人の力は小さいと思いますが「何か役に立ちたい」と考えるようになりました。日本に帰ってからも、環境のために自分にできることを探し、先日は猪苗代湖の水質向上のためのヨシ刈りボランティアに参加しました。中国に行ってから、とにかく“できること”に積極的にチャレンジしてみようと、前向きに考えるようになりました。 石川 環境対策に関する日本の技術は、中国と比べると一歩も二歩も進んでいます。もっと日本が中国の環境問題改善のために貢献できることがあるはずです。いま3年生なので就職活動も始まっていますが、環境面で世界に貢献できる企業で働きたいと考えるようになりました。 尾形 私も水質分析の研究を深め、将来的には水に関する環境問題の改善に貢献したいと考えています。今回の中国研修を経験し、その目標がさらに明確になりました。
尾形 日本を初めて離れて、日本の良さを再発見できました。そういったことも含め、環境に関する情報を多くの人に伝えることで、さらなる地域への貢献にもつなげていければいいと思っています。 |