index 巻頭特集 明星学苑における「公益通報者保護法」と「内部通報制度」について 地球環境保護と省エネ法、温対法、環境確保条例(東京都)への取り組み 歴史点描


歴史点描1982
85年を超える明星学苑の長い歴史を振り返り、先人たちの叡智に新しい時代を生きる力を見つめ直す「歴史点描」――。今回は、明星大学が所蔵する貴重なリンカーン・コレクションを管理する「東京リンカーン・センター」にスポットを当てます。アメリカ合衆国第16代大統領と明星大学とのつながりは、どこで生まれたのでしょうか?

1982(昭和57)年に、明星大学図書館に開設された「東京リンカーン・センター」は、米国の第16代大統領エイブラハム・リンカーンに関する貴重な文献資料を多数所蔵しています。同センター設立の背景には、国際交流に積極的に取り組む児玉三夫先生と、一人の情熱的な収集家との“出会い”がありました。

歴史的な貴重文献を所蔵する 明星大学「東京リンカーン・センター」

 エイブラハム・リンカーンは、“偉大な政治の父”として、いまも多くの米国民から支持されている歴代大統領の一人です。「人民の人民による……」のスピーチで知られる『ゲティスバーグの演説』や南北戦争を終結に導いた『奴隷解放宣言』が有名ですが、それらの公式演説の印刷物をはじめ、署名入りの手紙や胸像など、多数の “コレクション”が、明星大学の「東京リンカーン・センター」には保管されています。これらの文献資料は大変貴重なため、残念ながら現在は一般への展示公開は行われていません。しかし、明星大学の“財産”として、いまも厳重に管理されています。
 東京リンカーン・センター設立の経緯をひもとくと、1980(昭和55)年に遡ります。当時、明星学苑理事長とともに、明星大学学長も務めた児玉三夫先生(明星高校、中学、小学校校長、および幼稚園園長も兼任)は、国立国会図書館の副館長から、(株)日本出版貿易の創設者である望月政治氏を紹介されました。望月氏は、青年時代に渡米していた時期が、ちょうどリンカーンの生誕100周年と重なり、さまざまなイベントなどリンカーンの偉大さを知る機会に遭遇。政治家として、そして人間としての魅力に感化され、何年もかけてリンカーンに関するあらゆるものを収集したのです。ところがそれら日本に持ち帰ったコレクションは、震災と戦災とで焼失してしまいました。それでも望月氏のリンカーンへの情熱は冷めることを知らず、新たにコレクション集めを再開し、関係図書やパンフレットなど約2,000点を収集。しかし、当時94歳の高齢だった望月氏は、自らのコレクションを信頼できる機関に託すべく、その預け先を探していました。そして紹介されたのが、明星大学学長である児玉三夫先生だったのです。
 望月氏から児玉三夫先生への要望は、「明星大学図書館に、すべてのコレクションを寄贈するから保管してほしい」というものでした。三夫先生は、九十学苑長先生とも相談し、この受け入れを快諾。そして大学図書館の職員と協力し、リンカーンに関する学術的な図書、パンフレット、定期刊行物などの文献を2年間でさらに約3,000点収集したのです。こうして望月氏の2,000点と合わせて約5,000点ものコレクションが完成し、それらを保管するための「東京リンカーン・センター」が開設される運びとなりました。
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東京リンカーン・センター開所式
 東京リンカーン・センター開設の披露が行われたのは、1982(昭和57)年2月12日。この2月12日は、リンカーンの誕生日でもあります。同センターは、アメリカン・デモクラシー研究の東洋随一の拠点となることはもちろん、ひろく世界の政治・文化に眼をひらく画期的な施設として、大きな注目を集めました。そのことは、開所式に約160名もの各界の方々が参列されたことからもわかります。また三夫先生は、この東京リンカーン・センターで貴重な資料を収集したことなどが評価され、世界のすぐれた私的図書収集家に贈られる「サー・トマス・モア・メダル」を1986年度に受章されました。
 いまなおミステリアスな謎を抱えたまま語られることの多いリンカーンの生涯ですが、そのリンカーンに関する貴重な文献等が、明星大学に数多く所蔵されているのも本学苑の歴史の深さを感じさせます。思えば、奇しくも今年2009年は、エイブラハム・リンカーン生誕200年の年。いま一度、明星学苑85年の歴史を振り返りつつ、リンカーンの生涯に目を向けてみるのもいいかもしれません。

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